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 5月号  2025年



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銀漢季語別俳句集


伊藤伊那男作品


主宰の8句














     


       
             

                        

    

今月の目次











銀漢俳句会/2025/5月号
  







    
   











   

 

銀漢の俳句 

伊藤伊那男 

◎仏教との付き合い

 私の念持仏に釈迦如来と観音菩薩がある。各々高さ20センチ位の素木(しらき)の像である。30歳の後半位であったか、取引先の不動産会社に不思議な男がいて、般若心経を独自に解釈した冊子を呉れた。誘われて高野山も訪ねた。氏の紹介で高野山大学を出立ての若い僧と親しくなった。その僧の伝で高野山大学の教授の家を訪ねたこともある。真言密教の話などを伺ったが、苦い思い出がある。不覚にも炬燵の暖かさに教授の目の前で眠ってしまった。その若い僧はごく普通の会社員の家庭の出であったが高校時代に仏教に目覚め高野山大学に入ったという。純粋な人で、付き合って数年後に岡山県津山市の郊外の空き寺の住職となり、暫くすると家庭を持った。その結婚式にも出席した。先の念持仏は彼の世話で手に入れたもので、魂も入れて貰った。白い木肌であったが、40年近く拝んでいると線香の煙や歳月により茶褐色を深めて風格を醸し出している。その頃般若心経も覚えた。たかだか280字足らずの短いお経だが、暗記するのは簡単ではなく、カセットテープで聞きながら一所懸命覚えたことも懐かしい。
 そんなわけで最初に出合ったのが真言宗であったこともあり、私は空海上人を信奉している。真言密教では大日如来を最高位に置いている。語弊があるかもしれないが、一口に言うと大日如来は太陽である。太陽は地球の半分しか照らさないが、大日如来は日の当たっていない地球の裏側までも遍満に照らす。まさに遍照仏である。これも勝手な解釈だが、真言密教では釈迦如来の存在が希薄である。その意味では空海の教えは正当な仏教と言っていいのかどうか……仏教の衣を借りた異端の教えかもしれないなどと迷うこともある。空海という稀有な天才に折伏(しゃくぶく))されてしまったのかもしれない。そのような中途半端な理解のままで般若心経を唱えている。時々唱え忘れたりして40年近くになる。
 さて信州の父の先祖の菩提寺は曹洞宗であり、母の実家は浄土宗であった。妻の葬式は臨済宗の寺で営み、墓は東京の浄土宗の寺に建て、分骨は京都の浄土真宗の大谷祖廟に納めた。40十代の半ばの頃、近くの寺の読経の会に通ったが、そこは天台宗であった。50歳の頃経営に参画した会社が倒産し失業者となった。このあと何をして生きたらいいか、決まらぬままに半年ほど近くの寺に毎朝通って読経、掃除、墓地の草毮りなどをしていた時期がある。さてあの寺は何宗であったか……。その程度のいい加減な仏教との付き合いである。
   
施餓鬼会の餓鬼の一人として列す   伊那男




     










 





彗星集作品抄
  伊藤伊那男・選

 胸鰭を胸に公魚果てにけり          小野寺清人
 古傷の上に生傷恋の猫            山口 輝久
 神の恋叶はず諏訪の寒明くる         坂下  昭
 慟哭のこゑ包みこむ涅槃雪          萩原 陽里
 如月のまだ反りてゐし壁暦          岡城ひとみ
 花あれば吾にも分けよ歌心          伊藤  政
 吊橋の十歩の揺れや春隣           長谷川千何子
 衣川干戈はるかに雪解川           小野寺一砂
 座布団の四隅の房も寒に入る         橋野 幸彦
 国生みの神話ここから野水仙         末永理恵子
 雪降ると雪の匂の女かな           中村 藍人
 料峭や洲崎に残る波除碑           塚本 一夫
 懸想文無言を通し売りにけり         西田 鏡子
 木曽谷の落暉は捷し義仲忌          坂下  昭
 春しぐれ鞍馬詣の禊とも           武田 禪次
 本棚から青春の香や隙間風          渡辺 花穂
 掘炬燵昭和の脚の低さかな          福原  紅
 屋上の祠にぎはひ初午祭           田嶋 壺中
 春兆す籠りし僧の紙椿            川島  紬
 かたかご咲く妹背の峰の通ひ路に       中村 湖童











 










    
     

彗星集 選評 伊藤伊那男

伊藤伊那男・選

今回はお休み致します。



 





銀河集作品抄

伊藤伊那男・選

花街を抜くる墨田の福詣        東京  飯田眞理子
肌理をまづ褒めふるさとの雑煮餅    静岡  唐沢 静男
ふるさとに一度は帰る納税期      群馬  柴山つぐ子
春泥へ歓喜の牛を放ちけり       東京  杉阪 大和
雪吊の緩びしままに永らへし      東京  武田 花果
武甲嶺や発破一つに冴返る       東京  武田 禪次
探梅行土地の今昔などききつ      埼玉  多田 美記
橋あまたありし浪花に二の替      東京  谷岡 健彦
出遅れてすこし汚れた雪を搔く     神奈川 谷口いづみ
寒雀藁を引きあふ一茶の地       長野  萩原 空木
凍蝶が親鸞像の胸もとへ        東京  堀切 克洋
北塞ぎ座敷童の濃き気配        東京  三代川次郎











綺羅星集作品抄

            伊藤伊那男・選


立春や居間の深きを鳥の影       東京   飛鳥  蘭
御神籤の折り目正しき淑気かな     東京   有澤 志峯
寒明のひかりの帯を信濃川       神奈川  有賀  理
談笑の病の話題新年会         東京   飯田 子貢
鶯や世間話を途切れさせ        山形   生田 武
洗濯物まだ干竿に日脚伸ぶ       埼玉   池田 桐人
むかし話に飛び入りの虎落笛      東京   市川 蘆舟
柊挿す荒るるばかりの生家訪ひ     埼玉   伊藤 庄平
春来る畳の上の豆踏めば        東京   伊藤  政
チャッキラコ鷗も鳶も空に舞ふ     神奈川  伊東  岬
笹起きるつられ隣の笹もまた      東京   今井  麦
風二月貸農園の抽選日         埼玉   今村 昌史
利根超えて踝軋む寒さかな       東京   上田  裕
越前は海鳴りの国水仙花        東京   宇志やまと
一張りの琴を飾りの初座敷       埼玉   大澤 静子
縦糸の日差し横切り鳥帰る       神奈川  大田 勝行
枯れといふ明るさもあり冬芒      東京   大沼まり子
三寒の手術四温の試歩百歩       神奈川  大野 里詩
丹田に吐く息集め寒稽古        埼玉   大野田井蛙
蝌蚪の国覗かんとして丸木橋      東京   大溝 妙子
日脚伸ぶベッドの項をも温め      東京   大山かげもと
暗くなる前にも一度雪を搔く      東京   岡城ひとみ
早梅咲くみつめてをればもう一輪    愛知   荻野ゆ佑子
半身に雪積りゆく馬橇かな       宮城   小田島 渚
みちのくに開かずの峠猫柳       宮城   小野寺一砂
流氷を鳥は鳥の血もて汚す       埼玉   小野寺清人
国生みの島を浮かせて初霞       和歌山  笠原 祐子
両手足空へとひらく梯子乗       東京   梶山かおり
ふくろふの鳴く夜あくまでも昏し    愛媛   片山 一行
札所へと背を押されし鰆東風      東京   桂  説子
松過や重箱仕舞ふ中二階        静岡   金井 硯児
悔残る看取りの日々や梅真白      東京   我部 敬子
末黒野を踏む度焦げの匂ひ立つ     東京   川島秋葉男
野仏に土筆の寄りて精舎めく      神奈川  河村  啓
糠雨やきぶしの花の重たげに      愛知   北浦 正弘
闇汁やそれぞれの過去持ち寄りて    東京   北川 京子
仏間には三粒投げられ追儺豆      長野   北澤 一伯
頭から喰らひ目刺の供養かと      東京   絹田 稜  
ポインセチア深みこそすれ褪せぬ色   東京   柊原 洋征
縄飛の地を打つて子を招きけり     東京   朽木  直
鍋焼や話は長くなりさうな       東京   畔柳 海村
橋あれば橋を渡りて梅探る       東京   小泉 良子
煤逃に来て国宝に囲まるる       神奈川  こしだまほ
本閉ぢてまた昼の夢春の風邪      千葉   小森みゆき
足拍子取る笛方や初神楽        東京   小山 蓮子
首鳴りの佳き小芥子売れ春の市     宮城   齊藤 克之
この雪も米ならよかろ十三湊      青森   榊 せい子
海風にはやるを抱きてけんくわ凧    長崎   坂口 晴子
心経に猛る護摩火や追儺式       長野   坂下 昭
廃線と噂の立ちて雪の駅        群馬   佐藤 栄子
板チョコの銀紙軽き音や春       群馬   佐藤かずえ
山の子の山びこ遊び笹起きる      長野   三溝 恵子
夕東風に滲む瓦斯灯運河沿ひ      東京   島 織布
春北風に抗ひてゆく男坂        東京   島谷 高水
春雪の山の白粉には足らず       兵庫   清水佳壽美
ぬかるみに茣蓙の敷かれし午祭     東京   清水 史恵
調律を終へし鍵盤春隣         東京   清水美保子
おみやげは納豆づくし梅見旅      埼玉   志村  昌
カンヴァスは下書きのまま余寒かな   千葉   白井 飛露   
薪山の瘦せて春光連子窓        神奈川  白井八十八
日本橋は小社ばかり福詣        東京   白濱 武子
松飾外し今年の動き出す        東京   新谷 房子
雨粒と輝きあへる猫柳         大阪   末永理恵子
幼児の取るを皆待つ歌留多かな     岐阜   鈴木 春水
遊具みなペンキ塗り立て春を待つ    東京   鈴木 淳子
初枕かるく叩きて寝ぬ習ひ       東京   鈴木てる緒
坂上る満開の梅蕾の梅         群馬   鈴木踏青子
春を待つ母に手渡す手のぬくみ     東京   角 佐穂子
傷心の澱流さむと寒の水        東京   関根 正義
埋もれたる郵便箱に雪見舞       千葉   園部あづき
向かひ風なれど厭はず春一番      埼玉   園部 恵夏
春炬燵猫長くなり出でにけり      神奈川  曽谷 晴子
凍鶴の片脚からうじて凍てず      長野   髙橋 初風
春潮や船浮き上がる水平線       東京   高橋 透水
秩父路の降りみ降らずみ梅早し     東京   武井まゆみ
捨て畑に風を呼び込むどんどの火    東京   竹内 洋平
絵蝋燭ともり会津の春動く       東京   竹花美代惠
街路樹の骨格あらは寒に入る      神奈川  田嶋 壺中
人形町葱鮪の店は支度中        東京   多田 悦子
びしびしと海苔簀の音に耳すます    東京   立崎ひかり
何回も脚をくぐらす手毬唄       東京   田中 敬子
春の闇絶対秘仏てふ秘仏        東京   田家 正好
暮れゆけど帰る家なき雪だるま     東京   塚本 一夫
神在す淑気や今朝の富士真白      東京   辻  隆夫
夜警らの順に立ち寄る焚火かな     ムンバイ 辻本 芙紗
福引や束子一つの残り福        東京   辻本 理恵
花片栗風に押されど押しかへす     愛知   津田 卓
猪鍋の暖簾丹波の風に舞ふ       東京   坪井 研治
煮凝や昨日の記憶を解きつつ      埼玉   戸矢 一斗
熱燗の友にそれぞれ武勇伝       千葉   長井  哲
人だれも死ねば良き人返り花      東京   中込 精二
洗はれてなほ七草に土匂ふ       大阪   中島 凌雲
独り居の雨雫聞く朝寝かな       東京   中野 智子
猫の目の縦一文字春正午        東京   中村 孝哲
蒲団延ぶ四隅の遠き旅の寝間      茨城   中村 湖童
花蕊に腹深々と冬の蜂         埼玉   中村 宗男
探梅や同行二人秩父道         東京   中村 藍人
黒鍵の戻らぬピアノ笹起きる      長野   中山  中
二階より父帰る声雪一丈        千葉   中山 桐里
納豆を百回まぜて春を呼ぶ       大阪   西田 鏡子
白鳥の群れて光りの礫かな       埼玉   萩原 陽里
冬の蝶影見せぬまま失せにけり     東京   橋野 幸彦
海光る鴨のくちばし入るるたび     広島   長谷川明子
かりそめの光とらへて猫柳       東京   長谷川千何子
道場の畳に残る余寒かな        兵庫   播广 義春
冴返る仏に深き鑿の跡         埼玉   深津  博
枯れてなほ風を離さぬ芒かな      東京   福原  紅
蛙の子池を去る日は一斉に       東京   星野 淑子
雪掻を止むここからは神域と      岐阜   堀江 美州
どんど果て土の匂の戻りけり      埼玉   本庄 康代
蓬摘みし手指の匂懐かしき       東京   松浦 宗克
燭ゆれて弥陀の半眼冴返る       東京   松代 展枝
鐘冴ゆる夕日差し込む閻魔堂      神奈川  三井 康有
花道の七三よりの御慶かな       神奈川  宮本 起代子
雪見障子朧に繫ぐ遠き日々       東京   村田 郁子
春暁や雨垂れの音遠近に        東京   村田 重子
立春大吉一升瓶の蓋いづこ       東京   森 羽久衣
白梅の垣間見えたり東慶寺       千葉   森崎 森平
寒鯉の呟きほどの水の泡        埼玉   森濱 直之
笹起きるささやくほどの音立てて    長野   守屋  明
初鴉ひと声千木の高みより       東京   矢野 安美
恋猫の向う傷こそ愛しけれ       愛知   山口 輝久
ぬかるみに鳥の足跡春めけり      群馬   山﨑ちづ子
王宮は監獄となり冬薔薇        東京   山下 美佐
言の葉の聞こえてきさう踏絵板     東京   山田  茜
梅真白宮の暮色を退かす        東京   山元 正規
風花や舟板塀の湖畔宿         東京   渡辺 花穂


















     





銀河集・綺羅星今月の秀句


伊藤伊那男・選

今回はお休み致します。















               






 

星雲集作品抄
伊藤伊那男・選
秀逸

年酒注ぐ金箔入るやうに注ぐ      東京  松井はつ子
喰積に加賀の切箔散らしけり      埼玉  水野 加代
七色を一色にして独楽廻す       神奈川 西本  萌
初能の神の早さや返す袖        千葉  平山 凛語
雪割草佐渡法難を偲ぶ道        東京  久保園和美
やはらかき障子明りに母のこゑ     広島  井上 幸三
寒鰤の油光に糶り落す         東京  尼崎 沙羅
ひとりゐは鎌もて囃す成木責      愛知  箕浦甫佐子
蝋梅についの長居や寺詣で       東京  幕内美智子
あたたかや色とりどりの飴の店     千葉  平野 梗華
三寒の一羽四温の群雀         栃木  たなかまさこ
うぐひすや春琴抄をふいと伏せ     東京  熊木 光代
真つ白な懐紙に見ゆる寒牡丹      愛知  河畑 達雄
近くにも遠くにも妻初鏡        東京  井川 敏







星雲集作品抄

            伊藤伊那男・選


狩人のもの言はずただ支度せり     東京  飯田 正人
高千穂の歌は何處に紀元節       長野  池内とほる
畳屋の硬き豆腐や針供養        東京  石床 誠
真直に一本ごとに針供養        東京  一政 輪太
梅の香も百色となり天神社       東京  伊藤 真紀
暁の方へ方へと冬の河         長野  上野 三歩
常夜灯届かぬ路地や猫の恋       東京  上村健太郎
母の足手探りしつつ湯婆置く      埼玉  梅沢 幸子
薄氷や跳び損なひの照れ隠し      長野  浦野 洋一
梅一輪仏の顔をほころばす       静岡  大槻 望
初釜や松風止みて名残の香       群馬  小野田静江
百姓も歌する里や実朝忌        静岡  小野 無道
鳥羽殿の名残り尋ぬる梅見かな     埼玉  加藤 且之
黙黙と野麦峠に笹起きる        長野  唐沢 冬朱
冬うらら瀬織津姫の瀞の黙       東京  北野 蓮香
寒晴や切り込んでゆく新幹線      東京  北原美枝子
花街の灯浮び上がらせ朧かな      東京  倉橋 茂
八ッ場ダム春待つ里の水溜めて     群馬  黒岩伊知朗
税申告終へて空腹覚えたり       群馬  黒岩 清子
翅立てて一点見つむ冬の蠅       愛知  黒岩 宏行
春風に乗つて行く人帰る人       神奈川 阪井 忠太
笹起きる山背負ひたる小集落      長野  桜井美津江
海鳴や湯宿に残る春火鉢        東京  佐々木終吉
靴跡の大きさ比べ春の雪        群馬  佐藤さゆり
小寒へ切り込むごとく出す一歩     東京  島谷 操
老鶯の呼び交はしたる室根山      東京  清水 旭峰
元旦や余生にも計ありぬべし      千葉  清水 礼子
領収書捜し回るや納税期        群馬  白石 欽二
上襲はぎて岸辺の猫柳         東京  須﨑 武雄
鷽替の木彫りの数の嘘の数       愛知  住山 春人
歯切れよき下駄の捌きや福寿草     埼玉  其田 鯉宏
白魚飯築地の昼は相席で        東京  田岡美也子
長旅の疲れどこやら出開帳       東京  髙城 愉楽
立春の山肌を見せ浅間山        埼玉  武井 康弘
手遊びの影絵のうさぎ朧月       東京  田中 真美
裾のみを見せて連峰雪催        長野  戸田 円三
酒断ちて見えてくるもの井月忌     埼玉  内藤  明
白髪の母幻の冬座敷          群馬  中島みつる
さへづりの聞こえ来る枝庭師入る    神奈川 長濱 泰子
日溜まりに丸まる猫と毛糸玉      京都  仁井田麻利子
夕景の池の端めぐる苗木市       東京  西  照雄
彩りの菓子のあれこれ春兆す      宮城  西岡 博子
鶯や桃源郷を呼び寄する        東京  西田有希子
厨事終へし窓辺や日脚伸ぶ       静岡  橋本 光子
書初は少し強めの筆圧で        東京  橋本  泰
電線に動かぬ一羽寒鴉         神奈川 花上 佐都
笹起きる気配や森に風生ず       長野  馬場みち子
年の豆ひと粒増やし遺影へと      千葉  針田 達行
春雪や厩舎の飼葉匂ひ立つ       神奈川 日山 典子
虎落笛誰かに呼ばれてゐるやうな    長野  藤井 法子
針仕事できぬ男の針供養        福岡  藤田 雅規
蝋梅は沢庵の色大徳寺         栃木  星乃 呟
雪起し眠れぬ吾子の話聞く       東京  南出 謙吾
神事待つ氷らぬ湖の氏子衆       東京  宮下 研児
潮騒を子守歌とし梅咲けり       宮城  村上セイ子
東風の海舳先に並ぶ鷗かな       神奈川 山田 丹晴
蛇穴を出てため息のひとつかな     静岡  山室 樹一
暁の新聞受けの余寒かな        群馬  横沢 宇内
鰆東風水軍の瀬戸吹きぬけて      神奈川 横地 三旦
黒蜜をまとひ伸びたるわらび餅     神奈川 横山 渓泉
雑巾を縫ひし頃あり針供養       千葉  吉田 正克
羽根の皺ゆるりと拡げ蝶の舞ふ     東京  若林 若干
春疾風台場の並ぶ大江戸図       東京  渡辺 広佐






















星雲集 今月の秀句

伊藤伊那男

今回はお休み致します。


















伊那男俳句


  
鯨肉の四角四面で届きけり

 米国のペリー艦隊が日本に開国を迫ったのは捕鯨船の補給基地を求めたことに発する。当時の欧米の捕鯨は鯨油を取ることが目的で他は全部捨ててしまうという実に乱暴なものであった。一方の日本の捕鯨は油ももちろんだが食用の肉が目的で、皮もころ(・・)にしたり舌もさえずりとして食す。髭なども工芸品に使うし、捨てるものは少ない。一つの文化なのだが、先進諸国には全く理解されず、動物愛護団体の圧力で、厳しい制限受けて久しい。実は裏に牛、豚の食肉業者の利権が絡んでいるという説もあるが、どうなのであろうか。この句は子供の頃の記憶である。未解凍の鯨肉が四角の塊で台所に置かれていた記憶である。厚めに切って塩胡椒をして表面が焦げるように強火で焼き、溜り醤油で仕上げる。表面はカリカリで中はレアーというのが肝要である。ニンニクを添えたら牛肉にも引けを取らない逸品となる。大食漢の鯨が増えて、鰯漁などに影響が出ているという。困ったことである。












   


 



俳人協会四賞・受賞式





更新で5秒後、再度スライドします。全14枚。







リンクします。

Haishi etc
        














銀漢の絵はがき


挿絵が絵葉書になりました。
Aシリーズ 8枚組・Bシリーズ8枚組
8枚一組 1,000円

ごあいさつにご利用下さい。














掲示板
















               
 
     

「銀漢」季語別俳句集




拡大します。
銀漢季語別俳句集
待望の『季語別俳句集』が3月に刊行されました。













主宰日録  

  

1月

   1月31日(金)
 11時、上野の東京国立博物館にて「旧嵯峨御所大覚寺」展を見る。天気いいので浅草方面へ散策。「駒形どぜう」、丸鍋、どぜう汁の昼食。「梅園」で田舎しるこ。アメ横で若布、鰯の丸干、ちりめんじゃこなど買う。2万歩近く歩いたか。

2月

2月1日(土)
 午後、三田の「専売ホール」にて「銀漢本部句会」46名。

 2月2(日)
 「銀漢」4月号の選句に入る。夜、節分にて鰯の生姜煮。豆撒きも。

2月3日(月)
 立春。9時、「東京目白クリニック」。5回目の化学療法の点滴三時間。帰宅して寝る。夜、鰹のたたきと新玉葱のスライスなど。

2月4日(火)
 「銀漢」のエッセイ二本書き溜める。寒波襲来と。

 2月5日(水)
 朝、「109シネマズ二子玉川」。アニメの「ベルサイユのばら」の封切を見る。買物をして豚モツ煮込(今迄、肉類は避けていたが作りたくなった)、鯛の兜煮、鯛茶漬の汁などを仕込む。

2月6日(木)
 午前中、加々美先生の整体。「銀漢」3月号の校正作業。昼おしるこ。マッサージが効いてたっぷり昼寝。

 2月7日(金)
 数句会の選句。3月号の校正終えて編集長へ投函。午後、米糠酵素風呂。

 2月8日(土)
 独活のきんぴら、菜の花のぬた作る。来週の京都行きに備えて、「銀漢」4月号の選句、執筆ほぼ終える(選評は無し)。

2月9日(日)
 娘と孫の手助けを得て部屋の配置替え。本棚、ベッドなどを動かす。大掃除も。一仕事。心機一転の気分。

2月10日(月)
 終日、部屋の片付け。本棚を整理。快適な部屋となる。不思議なことに飼い犬のバニラ(ティーカッププードル)が何回も来て寝ていく。

 2月11日(火)
 桃子、杏子、孫の華子を連れて京都へ。昼、南禅寺門前の湯豆腐の「南禅寺 順正」。あと南禅寺、哲学の道を散策して銀閣寺。町へ戻って錦市場を少し案内。「京つけもの処 錦・高倉屋」で漬物買う。17時、「味どころ しん」に和田ちゃん、悦子さんと待合せ。女将が再会を喜んでくれる。六人で宴会。22時まで。女性五人もいると騒々しいこと! ぐぢ、雲子がうまい。「京都糸屋ホテル」へ投宿。

2月12日(水)
 「高木珈琲店」にて「名物リッチモーニング」セット。北野天満宮へ行くが梅はまだ蕾。梅干を買う。上七軒の花街を歩いて紫野へ。「はしもと珈琲」で一休み。今宮神社へ。あぶり餅屋は残念ながら今日はお休み。大徳寺塔頭大慈院「泉仙」の鉄鉢料理の昼食。学制時代以来の再訪。あと清明神社、白峯神宮を案内して京都御苑。ここまでで杏は東京へ。護王神社、あと千本釈迦堂。ここの霊宝殿の仏像群は凄い。「五辻の昆布」、漬物の「近為」を覗いて、17時、居酒屋「神馬」。やはり料理は優れている。ただし予約の手違いがあり、18時半に出て、向かいの西陣京極の「思い出」。ここは3回目か。気さくな居酒屋。

2月13日(木)

 朝食は抜く。8時過、大谷祖廟へ(妻の分骨先)。妻の実家の墓も詣でる。八坂の塔界隈を散策し、清水寺へ案内。「舌切茶屋」で甘酒。11時半、聖護院の「河道屋養老」。和田ちゃんも来て4人で養老鍋を囲む。庭に風花が舞う。娘、孫と「京極スタンド」に寄る。「大丸百貨店」にも寄り、2人は東京へ。これで1人となる。16時、ホテルへ入り、これより静養とする。夕食は大丸で買った寿司盛合せと茶碗蒸し。ぐっすり眠る。

 2月14日(金)
 快晴。東山に上る朝日を拝して、向いの「高木珈琲店」の「名物リッチモーニング」。手術後、コーヒーが苦手であったが、この旅で旨く感じるように戻ったのが嬉しい。高倉通りなどを散策して京都駅へ。「くまざわ書店」でエッセイ本買う。「イノダコーヒ」で一休み。昼過、近江の長浜。「国友鉄砲ミュージアム」を見学。国友集落を散策。伊吹山が美しい。町へ戻って17時、「住茂登」鴨鍋のコース。入院手術があったので二年振りの訪問。最後はうどんで締める。「ホテルYes長浜」泊。

  2月15日(土)
 快晴。琵琶湖が一望。慶雲館の長濱盆梅展を見る。盆栽の概念を超える凄さに感嘆。旧長浜駅舎を見て「翼果楼」で鯖そうめん、赤蒟蒻の田楽。米原からこだまに乗り、景色を楽しんで東京へ戻る。

2月17日(日)
 数句会の選句。確定申告の書類作成など。昼、蕎麦、パスタ。

2月18日(月)
 数句会の選句。エッセイ2本書く。午後、米糠酵素風呂。買物。今日は奈良の畑中君(野村証券同期生)、千葉の北原君(高校同期)、兵庫の清風さん(雲の峰)から小生の近況問い合わせあり。皆さんが心配して下さっている。治療のあと2日ほどは眠い。

 2月19日(水)
 皆川文弘さんから、毎年戴くチューリリップの芽が出始める。夜中に起きたのでそのまま調布俳句講話の「信州の食物と俳句」書き始める。夜、長芋の付焼きなど。

  2月20日(木
 久々、発行所に寄り、「伊東温泉つつじ祭り全国俳句大会」での講演依頼状入手。18時、麴町会館にて「銀漢句会」。伊東の高橋会長宛、病気のリスクを承知下されば出席の返事を速達で出す。

2月21日(金)
 調布の俳句講話用の「信州の食物と俳句」、17品目調べ、例句を拾う。懐かしく楽しい作業。熱中する。久々、大根と人参、油揚の粕汁作る。

 2月23日(土)
 武田編集長が企画してくれた秩父猪鍋の会。前に通っていた「桂」が閉店して中断していたが、長瀞の奥に「千葉亭」を見付けてくれる。猪のスペアリブ、鹿のウインナソーセージ、猪鍋、おじや。5句出し句会。私は一足先に、女将の和製ロールスロイスで駅まで送って貰う。

 2月24日(日)
 「第12回井月忌の集い」の応募句の選句作業。幹事の井蛙さんに投函。大根の柚子皮巻の甘酢漬作る(秩父行で思い出した)。

2月25日(火)
 午後、酵素風呂。「オオゼキ」で買物。数句会の選句。作句。

 2月26日(水)
 小田急線秦野の「はだの 湯河原温泉 万葉の湯」へ。13時半からたっぷり湯に浸かる。15時半、チェックイン。昼、稲庭うどん。体重57㎏は少ない。夜、カツ丼を食べてみる。入浴。

 2月27日(木)
 日の出を拝す。朝、温泉、低温サウナ。朝食しっかり食べる。10時、熱海駅に井蛙、清人さんと待合せ。唐沢静男君の車の出迎えを受ける。沼津市三津浜の長浜城跡(後北条家の海軍基地)を訪ねる。富士山が美しい。南アルプスの白嶺も見える。網代の唐沢家を訪ね、洋子夫人の料理のもてなしを受ける。17時半、辞す。熱海駅で井蛙、清人さんと別れ、「東急ハーヴェスト倶楽部熱海伊豆山」に投宿。湯舟から熱海の夜景と星空が見事。

 2月28日(金)
 風呂で朝日を拝す。ミストサウナよし。海を見ながら朝食をゆっくり。日向ぼっこ。読書。終日部屋で過す。茜雲の湯もいい。夜空の湯もいい。

3月

3月1日(土)
 今朝も湯舟から日の出を拝す。ミストサウナ良し。海を見ながら朝食ゆっくり。昼、東京に戻り、そのまま「神保町ひまわり館」にて「銀漢本部句会」。あとの親睦会に久々顔を出す。

 3月2日(日)
 夜中起床。留守の間に届いた郵便物の整理。数句会の選句。失念していたエッセイ一本。「銀漢」4月号の校正作業。
 

         

     
 


















         
    






今月の季節の写真/花の歳時記





2025/4/30 撮影   御衣黄桜     . HACHIOJI











花言葉    『心の平安』『精神美』『永遠の愛』『優美』



△ 御衣黄桜(ギョイコウザクラ)
江戸時代に、京都の仁和寺で栽培されたのが始まりだといわれています 。 「御衣」とは、貴族の着物のこと意味します。緑色の花びらが、平安時代の貴族の衣服の「萌黄色」(モエギイロ)に近いことが由来です。 御衣黄桜とは、ソメイヨシノが散った後、4月中旬~下旬頃に咲く桜です。サトザクラの品種の1つで、開花したばかりの花は淡い緑色、徐々に黄色に変化していき、やがて花びらの中心部が赤く染まっていくのが特徴です。
御衣黄桜は、緑色から次第に中心部が筋状に赤に変わっていく珍しい花で、その色が貴族が好んで身に着けた衣服の萌黄色に似ていることから名付けられたといわれています。



御衣黄桜










写真は4~5日間隔で掲載しています。 


2025/4/30















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